
北九州市立大学の長期優先債務をAA/安定的に格付け | 2006年11月08日 |

発行体:公立大学法人 北九州市立大学
【格付事由】
(1) 1946年設立の「小倉市立外事専門学校」を発祥とし、外国語学部をはじめ5学部を擁する我が国有数の公立総合大学。アジアとの交流の歴史及び環境問題への取り組みなど北九州地域の特性を活かした教育・研究・地域産業への貢献を目的とする。北九州市に2つのキャンパスを有し、在籍学生数は約7,000人。
(2) 公立大学法人の模範とも言える本学の改革はスピード感があり、かつ的確に進められている。公立大学としては大規模校だが、05年4月に公立大学法人への移行後は、教学部門の自治に配慮しつつも、理事長ならびに学長による強力なリーダーシップを発揮できる体制を構築している。中期計画初年度は、全学に亘って教員人事、組織改編、意思決定プロセスの確立等を行なったが、そのフレームワークは本学の戦略効果の発現に対し、有効に機能していくものとJCRは見ている。また、入試から就職まで一貫した教育システムを体系化させ、入試センター、キャリアセンターの設置を図っている。人間力の醸成と専門教育の基礎固めを狙いとした基盤教育センターの導入は、本学の教育力・就職力を一段と向上させ、キャッシュフローの安定化に資する可能性がある。
(3) 志願者数は、18歳人口の減少による影響を受けており、減少傾向にある点は否めない。しかし、現時点では他大学との競合上、学部により多少の優劣はあるものの、全体としての競争倍率は安定した水準を維持している。また、これまでのところ入学者の学力水準についても年々上昇傾向にある等、地域における学生からの支持は確保されている。現在取り組む一連の施策が九州周辺地域での志願者総数の増加や、志願者層の質的向上に繋がるかが注目される。
(4) 西日本屈指の産業集積地である北九州市において本学の位置付けは高く、市政において主体的かつ緊密な位置付けにある。「北九州市ルネッサンス構想」では、人材創造に努め、競争力のある産業都市としてのポジションを確立すると共に、環境に配慮した都市づくりを標榜している。01年開設の北九州学術研究都市はその象徴であり、さらには同年設置された国際環境工学部は、北九州市が産学公連携の学術部門の中核として位置づけていることを示している。ただし、北九州市の財政状況は現時点では総じて健全といえるものの、税収基盤がやや弱く、歳入における交付税依存度が高い。今後の政府による三位一体の財政改革が地方財政に与える影響は大きく、市の財政力が変容していく可能性があることには留意しておく必要があろう。また、本学においても運営費交付金に係る効率化係数の適用はあるが、運営費交付金依存度は他の公立大学法人に比して相当程度低く、市からの合理化・効率化の要請が強まった際の対応に余力を残している。さらには、各種増収策を検討しており、法人としての収支、中期計画の遂行に当面懸念すべき状況にはない。
(5) 独立行政法人化を契機とした本学の教育・研究への取り組みは、地域貢献の機会を一段と高め、学生、企業等の支持を得て自主財源獲得という点で相応の水準を維持しうるであろう。今後の中期計画の実績を見定めていく必要はあるが、北九州地区トップの総合大学としての基盤は堅く、スピード感あるマネジメントから打ち出される戦略によって本学の競争力はさらに増す可能性がある。格付けは、本学の大学の自主財源獲得力の評価をベースとし、設置団体である自治体等による支援度の評価と自治体自身の財政力の3つ視点をもって総合的に判断した。
【新規】
対 象:長期優先債務
格 付:AA
見通し:安定的