
大手生命保険会社の2006年上半期報告について | 2006年11月29日 |

大手生保4社(日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命)の07/3上半期報告によれば、増加した基礎利益を源泉に内部留保の蓄積が進み(4社合計:実質純資産前年比増加率27.7%)、財務基盤が強化されたことが看取される。第三分野における既存商品販売の一服感による当分野の保険料の減少を、戦略的分野の一つと位置付けられる年金の新契約年換算保険料の増加で十分に相殺し、新契約年換算保険料総額が増加した会社も多く見られた。
三利源のうち逆ざやに関しては、債券の入れ替えとともに、デュレーションの長期化を図ってきたことが、円建て利付債券にかかわる利息収入の増加にながった一方で、こうした入れ替えに際する売却損などが株式売却益で相殺されたケースが見受けられた。株式の増配、外貨建債券の高クーポンの恩恵を受けた会社もある。金利上昇のシナリオには一定の不透明感は残るが、今後も平均予定利率の低下が見込まれ、複数の会社で、逆ざやの圧縮は徐々に進むと考えられる(4社合計:逆ざや05/9期3,508億円→06/9期2,468億円)。
その他の利源に関しては、死亡保障市場の縮小の影響はあるものの、第三分野の危険差益の貢献などから、危険差益総額が引き続き増加した生保も複数見受けられた。中長期的にも、消費者の医療ニーズなどの本質を考察するとともに、医療費の個人負担増加の可能性などの観点から当該分野の成長の持続性に注目している。従来から第三分野において事業基盤を築いてきた外資系生保に加え、主要生保や損保系生保も当該分野に注力するなか、商品設計・販売体制などの点で、各社がどのように競争力の強化を図っていくのか注視していく。
また、保有契約高の減少や商品構成の変化を背景に、付加保険料が減少していることから、費差益の減少が続いている(4社合計:費差益05/9期2,901億円→06/9期2,469億円)。今後も引き続き付加保険料の減少傾向が続くと想定されるのに加え、内部統制の強化、支払管理体制の強化、システム整備などにかかわるコストが増加する可能性がある。
競争激化の下、消費者による保険商品の選別が進むなか、来年度の標準死亡率の見直しを契機に、生保各社が、プライシングや商品設計の見直しをどのように行うのか注目している。付加保険料の自由化・配当政策なども勘案し、各社がどのようなプライシング戦略をもって、トータルな保険商品の収益性を確保して行くのかも見守っていく。
各社の販売・商品戦略の差異から、新契約年換算保険料の構成(第一分野、年金、第三分野)についても違いがより明確になり、事業機会の捉え方も各社で異なってきている。収益源の多様化という観点がある一方、商品設計によっては、長期にわたり複雑な保障を提供することで、支払い義務にかかわる不確実性が高まる可能性もあり、各社における収益・リスク管理体制が益々重要性を増していくと考えられる。
金融庁は、懸案事項であるソルベンシー規制の見直しを行う際に、近年の保険商品の多様化、資産運用技術の発展、リスク管理手法の高度化などによる実態を踏まえるとともに、現在、国際会計基準などにおける保険負債の時価評価をめぐる動向も見極める必要があるとしている。JCRは、中長期的視点から、現行の規制会計の枠組みに加え、資産および負債の時価評価なども視野に入れた上で、各生保が、どのように統合的なリスク管理体制を強化していくのか見守っていく。
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