お知らせ

JCR格付レンジ別財務指標2010
2011.05.18
今般、JCRは格付の検証の一環として、JCR格付先(p格付、モニター含む)の財務データにより、格付レンジ別財務指標(平均値)の算出を行なった。格付は定量面だけではなく定性面も考慮され決定されるが、ベースとして存在すべき格付レンジのグレードと財務指標間の整合的な関係は、本統計においても再確認された。JCRはこの様な財務水準の算出を行い個々の格付のチェックに使用している。実際の格付においては本レポート以外の指標の評価や定性面の評価を行なうほか将来の見通しも加味するため、本レポートの平均値の水準を満たしている企業に当該格付が必ずしも付与される訳ではない。しかし、格付の透明性向上の一助となるため、本検証結果の公表を行なった。

■集計期間
単年度の集計の場合、その時期特有の状況が統計に反映される。本統計ではより一般性をもった水準も併せて把握するため、集計期間を当期(2009年4月期から2010年3月期)と直近5期(2005年4月期から2010年3月期)の2通りとした。

■集計対象
決算から5ヶ月経過後のJCR格付が付与された本邦事業会社(金融、電力・ガス、空運、農林、水産、鉱業を除く)を対象とした。なお、総合商社や鉄道などの財務的に特徴のある業種も今回の集計では対象とした。その結果、対象先は2005年4月期から2010年3月期で製造業延べ1,110社(当期204社)、非製造業延べ1,006社(当期176社)となった。

■表1のコメント
(1) リーマンショック後の世界的な景気低迷により、本邦企業の収益性は大きく低下した。2008年度を底に回復しつつあるが、格付先に関して製造業、非製造業ともほぼすべての格付レンジで当期の水準は5期平均に比べ低い水準となっている。
(2) 企業の収益性低下によりEBITDAも当期は5期平均に比べやや低い水準となっている。収益力と債務のバランスで見ても、有利子負債/EBITDAの当期の水準は5期平均に比べ長期となっている。
(3) 自己資本規模に関しては、当期は5期平均に比べBBレンジ以外のすべての格付レンジで高くなっている。
(4) 財務構成の代表的な指標の一つであるデットエクイティレシオ(有利子)を見ると、製造業の5期平均ではBBBレンジ以上のグレードで1倍未満となっている。他方、非製造業では総合商社や鉄道を含むことでやや高い水準となっている。

PDF