お知らせ

JCR格付レンジ別財務指標2011
2011.11.17
今般、JCRは格付の検証の一環として、JCR格付先(p格付、モニター含む)の財務データにより、格付レンジ別財務指標(平均値)の算出を行なった。前回は2011年5月18日に「JCR格付レンジ別財務指標2010」をリリースしたが、これの2011年版となる。格付は定量面だけではなく定性面も考慮され決定されるが、ベースとして存在すべき格付レンジのグレードと財務指標間の整合的な関係は、本統計においても再確認された。JCRはこの様な財務水準の算出を行い個々の格付のチェックに使用している。実際の格付においては本レポート以外の指標の評価や定性面の評価を行なうほか将来の見通しも加味するため、本レポートの平均値の水準を満たしている企業に当該格付が必ずしも付与される訳ではない。しかし、格付の透明性向上の一環として、本検証結果の公表を行なった。

■集計期間
前回のJCR格付レンジ別財務指標2010と同様に、集計対象期間を‘当期’(2010年4月期から2011年3月期)と‘直近5期’(2006年4月期から2011年3月期)の2通りとした。なお、前回の結果は括弧で囲み比較できるように併記した(前回の集計期間は当期が2009年4月期から2010年3月期で、直近5期が2005年4月期から2010年3月期)。

■集計対象
対象をJCR格付が付与された本邦事業会社(金融、電力・ガス、空運、農林、水産、鉱業を除く)とした。Bレンジ以下の対象は少ないため、BBレンジ以上を対象とした。集計時の財務指標にはその元となる決算の決算期末から5ヶ月経過した時点で付与されているJCR格付を対応させた(例:2011年3月期決算の場合、2011年8月31日時点の格付)。その結果、対象先は2006年4月期から2011年3月期で製造業延べ1,078社(当期196社)、非製造業延べ973社(当期173社)となった。

■表1のコメント
(1) 今回の検証で格付レンジのグレードと財務指標間の関係は前回と同様に整合的な関係が観測された。
(2) 収益性では、当期の水準は前期からほぼすべてのレンジで改善している。その一方、5ヵ年の平均で見ると、直近5期は、ほとんどのレンジで前回より悪化している。これは今回、直近5期区間が1年ずれたことにより区間から抜けたリーマンショック前の1期の水準を新たに加わった当期の水準がカバーし切れなかったためである。
(3) 返済能力に関してもEBITDAベースで収益性と同様の傾向が見られた。
(4) 自己資本比率やデットエクイティレシオなどの財務構成に関しては、ストック指標であることもあり前回から今回にかけて比較的小さい変化に留まっている。

11d0668

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