お知らせ

格付けカテゴリー別推定倒産確率について
1999.01.19
格付けカテゴリー別推定倒産確率について

1999年1月19日

株式会社日本格付研究所(JCR)は、この度、投資家及び市場関係者の利便に供するため、当社の個別企業のデフォルト率推定モデル(特徴は後述)により算出した格付けカテゴリー別累積倒産確率(推定CDR)を公表致します。 以下に示す推定CDRは、1991年度から1997年度にJCRが格付けを行った企業を対象に、上記のデフォルト率推定モデルを適用して算出される個別企業の推定倒産確率の格付けカテゴリー別平均値です。JCRは今後ともアナリストによる詳細な業界及び個別企業の調査、分析を行うとともに、このような計量モデルの研究、改良を継続し、格付けの客観性の向上をさらに目指します。

個別企業のデフォルト率推定モデルによる推定累積倒産確率(単位:%)
格付記号 1年以内 2年以内 3年以内 4年以内 5年以内
AAA 0 0 0 0.03 0.04
AA 0.13 0.27 0.41 0.49 0.62
A 0.21 0.43 0.67 0.85 1.1
BBB 0.26 0.55 0.86 1.15 1.48
BB 0.31 0.66 1.06 1.44 1.89
B以下 1.26 4.18 6.62 10.03 13.27

(注1)推定CDRの数値は、各格付けカテゴリーの平均値を表していますが、サンプル数の少ないカテゴリーについては統計的に試算したものです。

(注2)推定CDRの各格付けカテゴリーの数値は、当社格付先についての過去の倒産実績を表すものではありません。また、将来の倒産比率に必ずしも一致するものではありません。

◆◇◆個別企業のデフォルト率推定モデルについて◆◇◆◇◆

当社の個別企業のデフォルト率推定モデルは、上場企業及び店頭公開企業の幅広い企業群を対象にデフォルトサンプルを設定し、多くの財務指標を用いた汎用性あるモデルで、その特徴は以下の通りです。

(1) 個別企業のデフォルト率推定モデルの特徴は、第一にその推定値がデフォルト率としての意味を失わないようサンプル設定を行い、日本のデフォルト実態に即したものとしたこと、第二に累積デフォルト率の推定にあたっては、財務諸表から得られる情報を多面的に織り込み、信頼性を高めたことです。

(2) 個別企業のデフォルト率推定モデルでは、「債務超過」を疑似デフォルトとしてデフォルトサンプルに加えています。これは企業の財務環境が厳しくなると予想されるなか、今後、債務超過の企業はその事業活動を継続する余地がますます狭まるものと思われ、「債務超過」をデフォルトとみなして作成されるモデルによる推定デフォルト率が、デフォルトの実態を逸脱しない範囲にあると判断したからです。この意味で、デフォルト率推定モデルによって算出される値は、個別企業のデフォルト発生確率の推定値であると考えられます。

(3) 個別企業のデフォルト率推定モデルの入力情報は各種の財務指標ですが、それらは50種以上の財務指標の中から多変量解析により選択されました。この選択の対象となる財務指標は比率、実数値、傾向値などを含む多様な構成となっており、デフォルト企業の財務上の特徴を抽出するのに必要と思われる広範囲な諸指標をカバーしています。

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