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JCR行動規範の改定について (2008.12.22)
2008.12.22
JCR行動規範の改定について (2008.12.22)


証券監督者国際機構(略称"IOSCO")は、本年5月に「信用格付機関の基本行動規範」("Code of Conduct Fundamentals for Credit Rating Agencies"、2004年12月制定)の改定版(以下、「IOSCO行動規範改定版」という。)を公表した。今次改定は、昨年来のサブプライム・ローン問題に端を発した世界的な金融危機において格付会社の果たした役割及びその責任を重視し、今後こうした事態の再発を回避する目的で行われたものである。具体的な改定項目としては、ストラクチャード・ファイナンスに関して新規に追加した部分が多いが、格付け一般に関係する改定も含んでいる。本改定を通じて、特に格付会社の「格付けの質の向上」、「利益相反の排除」及び「透明性の向上」の点について、格付会社に対して一層の改善を促す内容となっている。
(株)日本格付研究所(JCR)では、上記改定を受けその趣旨を十分理解して、このほど「JCR行動規範」(注)の改定を行い、本日から実施することとした。「JCR行動規範」の改定は、ほぼ全面的にIOSCO行動規範改定版に準拠した内容となっている。ただし、IOSCO行動規範改定版でも改定を必須としていない下記の(1)と(2)および各格付会社に具体的内容の定義を委ねている(3)については、JCR独自の規定内容となっている。
(注) 当初制定(2005年5月31日)のJCR行動規範の内容解説等については、JCR月報「格付け」
2005年5月号掲載の特集記事「JCR行動規範の制定について」参照。

(1) ストラクチャード・ファイナンス商品に関する格付記号は従来から企業格付け等で使用している格付記号と同一のものとし、新たに別の格付記号を設けないこととした。これは、投資家等のニーズとして、ストラクチャード・ファイナンス商品に関して新記号を使用すると、格付け利用に混乱が生じかねない等の消極的意見が多かったことを踏まえたものである。その代わり、JCRでは、ストラクチャード・ファイナンス商品の格付けの公表にあたっては、同格付けとコーポレート格付けの相違点をプレス・リリースおよび分析レポートのなかで説明する方針である(改定JCR行動規範第34条参照)。
(2) 格付委員会の審議プロセスに関する記述は、格付先に対する守秘義務に反する恐れが大きいので、これを公表しないこととした(IOSCO行動規範改訂版3.5本文参照)。
(3) JCRの行う付随業務("ancillary business")は、格付け業務を行うことにより培われた対象先の信用力を判断する知見・手法を利用するものに限定し、これにはコンサルティング業務を含まないこととした(改定JCR行動規範第18条参照)。

今回の改定に伴う行動規範全文については、12月24日にJCR web-site ( http://www.jcr.co.jp ) に掲載致します。

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